放射線量って何?
放射線量とは?
福島第一原子力発電所の事故以降、ニュース等で放射線についての話題を見ることが多くなったように思います。
しかしそもそも、「放射線量」とは、何を指しているのかについてご存じでしょうか。原発事故で飛んできて以来、世界的にも有名になった「セシウム」という放射性物質があります。
このセシウムから出てきている物を測ったものが放射線量です。「放射性物質」と呼ばれる物は、常にエネルギーを放出しています。放射性物質は自らのエネルギーを放出することで、別の物質へと変わろうとする性質があります。
昔々に、錬金術師と呼ばれる人たちがいました。この錬金術師たちの主な目的は、どうにかして金を別の物質から作り出すという物でした。彼らが行った様々な実験が現在の科学の礎になったと言われています。彼ら錬金術師たちは、本当に血のにじむような努力をしてきた事が、歴史の中で語られています。
しかし結局のところ、別の物質から金を作り出す事は叶いませんでした。驚くことに「ある物質が自然と別の物質に変わっていくのが、放射性物質の世界」です。これには、錬金術師たちも真っ青かもしれません。何もしなくても自然とある物質が別の物質に変わるのですから。
セシウムが出している放射線について
では「セシウム」が出している放射線について見てみましょう。
図中の赤枠で囲んだ、β(ベータ)線と、γ(ガンマ)線という2種類の放射線がセシウムからは出ています。そしてこの図では、それぞれの放射線の透過力、つまりどの程度、物を通過する力があるかを示しています。
β(ベータ)線は、電子の粒(つぶ)です。とよく言われますが、なんだかわかりにくいですよね。身近な物で例えるならば、蛍光灯の中を走っているのが電子の粒です。これが、蛍光物質にぶつかって光る事で私たちは明るさを得ています。なので、言うなればセシウムからのベータ線は、蛍光灯の中の電子の粒が外に、ヒョッと出てきてしまっているような物だと考えると少しはイメージしやすいかも知れません。
一方、γ(ガンマ)線は、電磁波となっています。身近な物で例えるならば、携帯の電波のような物と言ったらいいでしょうか。家の中にいても、電車に乗っていても、地下鉄でも携帯の電波は届いていますよね。ですから、γ線も遠くまで届くし、建物の壁なども通過してきます。
ただ、物を通過するときにエネルギーを失うので、外よりも家の中の方が放射線量は低いという事が起こるわけです。
携帯電話の電波も同じですね。地下では通じにくいです。
図では、ベータ線は紙一枚程度であれば通過してきますが、アルミフォイル1枚を挟むとほぼ止まってしまいます。
一方、γ(ガンマ)線は、厚い金属板でも通過することができ、分厚い水の塊でようやく止まることがわかります。
これらを踏まえると、報道などで聞く環境中の放射線量が何を測っているのか、もうお分かりですね。我々は様々な物を通過してきているセシウムからのγ(ガンマ)線を測定しているのです。